柿花火

山辺


     山の辺の道に標の柿花火


柿の糖度は10~20%、干柿にすると40~70%の糖度で、羊羹と同じほどに
なるらしい。
干柿の甘さは嫌味のない品のある甘さ。そのためか干柿は、和菓子の世界で
「甘み」基準として、古来より語りつがれている。
「和菓子の甘さは干柿をもって最上とする」という教えで、和菓子の甘さが
干柿をこえてしまうと、甘すぎて風味を損なうという意味のようである。

干柿のその歴史は古く、平安時代にお供え物のお菓子として登場したのが
最初と言われている。甘柿の登場は鎌倉時代になってからである。
それまでは渋柿のみだったのを、天日に干しおいしく食べられるようにした
先人たちの知恵に驚かされる。

砂糖がなかった時代、干柿は蜂蜜と並び貴重な甘味料で、周りについている
白い粉を集め砂糖のように使っていた時代もあったという。


柿


     柿二つ置かれて昔話かな



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秋の暮

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     もういいよ妻のぽつりと秋の暮


俳句は抒情詩
ほぼ同じように俳句の先生は、抒情、つまり自分の感情を述べ表すな、と
いう教えをされる。

「氷が溶けたら何になる」の問いに、「水になる」の答えは正解であるが、
詩にはならない。「春になる」と答えれば詩になる。
常識や既成概念にとらわれず「氷が溶けたら春になる」と、詩的な想像力を
働かせるのが俳句だと思う。

俳句を作るにはあたたかい気持ちと、常識や理詰めではない、ものごとを
心で感じるやわらか味、丸みが必要。
抒情詩の抒はのべるという意味とともに、緩むという意味もあり、心の状態
感情の柔軟な働きをのべるのが抒情詩である。
                       俳句技法入門 参考


     行春や鳥啼魚の目は泪      芭蕉

     この道やゆく人なしに秋の暮   芭蕉


一句目は奥の細道に出発し、千住での友人や門弟たちとの別れに際し作った
作品。惜別と前途三千里の不安が去来した。
春が行くと鳥が啼くわけはない、魚が涙を流すわけではないが、鳥や魚さえ
泣くだろうと想像力を働かせている抒情句である。


     一合のめし炊きて足る秋の暮


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穴惑ひ

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      約束の一年は過ぎ蛇穴に

      穴惑ひ最終便が出てしまふ


愛知県に住む小学6年生、夏休みに近くの公園の清掃ボランティアに
参加した。自らの意思ではなく母親に言われてである。
その日、すぐ隣に80歳くらいのおばあさんが、テンポよく楽しそうに
草を取っている。
「この年になると草にも生命を感じてくるの。だから楽しくやらないと
草がかわいそう」と言う。
言葉は理解できるが意味がわからない。しかし子供ごころに、何か深い
ものを感じたらしい。
お母さんに聞くと、「年を取ればわかると思うわ」
この子は、草に生命を感じるとはどういうことなのか、しばらくその
ことばかり考えていたそうだ。

お母さんの教育方針は「命の大切さは草も人間も同じ、また老い先短く
なると、命の重さを、より感じるようになる。それをすぐに答えるのでは
なく、年を重ねてさまざまなことを経験する中で、自分で答を出せば
いいと思い、あえて説明しなかった」とのことである。

この子の感受性もさることながら、お母さんの腰の据わった教育方針
にも、共感を覚える。

うちの小学3年生の孫は、昆虫が好きで山や野に自分で見つけたものを、
写真に撮りブログにして、ネットに公開している。

草花よりも、命そのものである昆虫の生命にどう接しているのか、当然に
昆虫の生死を、いくつも見てきていると思うが、それをどう感じているのか、
それよりも孫の親、つまり私の子供はそうした孫の場面に、どう向き合って
いるのか、興味のあるところだ。


     いじめなしとは言わせぬぞ穴惑い   中尾和夫
 
     自在なる老いとはならず穴惑い    金丸秀子
 
     穴まどい今日が明日でもよい立場   佐伯虎杖 


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赤とんぼ

夕焼け小焼け
ネット画像


     赤とんぼいつも思ひ出つれてくる

     赤とんぼ置かれたやうに竿の先


     夕焼け小焼けの赤とんぼ おわれてみたのはいつの日か
     山の畑の桑の実を 小かごに摘んだはまぼろしか
     十五で姐やは嫁にいき お里の便りも絶えはてた
     夕焼け小焼けの赤とんぼ とまっているよ竿の先

この「赤とんぼ」の作詞は三木露風、作曲は山田耕作で、大正10年に発表され、
露風自身の幼少時代の思い出を書いたものである。 露風は5歳の時両親が離婚、
祖父に養われることになり、そこで子守り奉公の姐やに面倒を見てもらう。
そのときの印象を詩にしたもの。

「おわれてみたのは」は「追われてみたのは」ではなく「負われて見たのは」で
あり、姐やの背中におんぶをされて見た夕焼けという意味である。

姐やは当時の農家は赤貧のため口べらしもあっての子守り奉公で、しばらくして
15歳で嫁いでいった。
「お里の便りも絶えはてた」の意味は、姐やを介して届いていた実家に出戻って
いるお母さんの、消息も聞くことが出来なくなったという意味であろう。

幼少時代の思い出の「夕焼け小焼け」と、四節のいま見る「夕焼け小焼け」は、
同じ夕焼けではあるが、想いのなかで時空を越えたものなのである。

この詞の中に3つの叙情が詠まれている。
ひとつは、夕焼けと赤とんぼの美しい忘れられない鮮やかな情景
ひとつは、姐やの背中に感じる体温の暖かさと、姐やへ抱くほのかな恋慕
ひとつは、会うことがかなわない母への切ないこころ

いまでも愛唱し続けられ、私たち日本人の心に訴える詩の内容がここにはある。


     望郷を煮つめてみれば赤とんぼ    岡本久一
 
     母在りてこその故郷赤とんぼ     高橋和彌
 
     赤とんぼじっとしたまま明日どうする  風天 



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唐辛子

b唐辛子

      昨日より今日の淋しさ唐辛子

      こころまで閉ざしておらず唐辛子

俳人、辻桃子さんの教え。よい句を作るにはまず、もっと勉強すること。
先人の句をたくさん読むこと。読んで、たくさんの型を身につけること。

そうしないとどんなによい発想があっても、自由に言い表せない。
またたくさん読めば自然によい句とだめな句を判別できるようになる。
どんな句が新しい句かもわかるようになる。

そうしてたくさん読んで、自分の好きな句にめぐりあうことが大切。
めぐりあったら、すぐノートにうつしておこう。

おすすめの俳句の本は、「現代俳句の世界」山本健吉 「現代俳句」
正岡子規 「俳諧大要」「虚子句集」などだそうだ。
どれも大概の図書館には置かれているはずである。

     すんなりと言葉が出ない唐辛子   村山久子
 
     本当はさびしいんだと唐辛子     新山のぼる
 
     唐辛子さあてこれからどうするか   田中不鳴 


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プロフィール

遊歩

Author:遊歩
あっという間に歳を重ねてしまいました。
せめて俳句への感覚は若くありたいと思い続けています。

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