八月

積乱雲
(積乱雲です)


      八月の石をも熔かす化学式

      また八月無音の空の高きこと


8月6日、9日「原爆忌」、千の言葉より俳句は重い。
いくつかの句と、添えられた鑑賞文を紹介して無言になる。


   すかすかな原爆ドーム秋の風   栗林浩
 
   ひろしま忌紙人形に髪がない   沢田改司

   ヒロシマにことりと置かる花鋏   佐藤凍虹 

   長崎に夜も崩れぬ夏の雲     宇多喜代子
 
   長崎の忌なり聖書の紙うすし   近藤栄治
 

   魔の六日九日死者ら怯え立つ   佐藤鬼房

八月六日は広島原爆忌、九日は長崎原爆忌。原爆の残虐性に対して、これほどまでに
怒りと戦慄の情動をこめて告発した句を、他に知らない。
死してもなお「魔」の日になると「怯え立つ」…。原爆による死者は、いつまでも
安らかには眠れないでいるのだと、作者は言うのである。  清水哲男


   キャラメルの赤き帯封原爆忌   吉村明

広島に原子爆弾が投下された日、1945年8月6日。もう昔のことになってしまったのか。
しかし、掲句はなんでもない「キャラメルの赤き帯封」を泣けとごとくに現代の読者に
突きつけてくる。
日頃は気にとめたこともないので、私などは帯封の色すら覚えない。どんなメーカーの
キャラメルの帯封なのか。
いま思い出そうとしても、思い出せない。そんな私にすら、この「赤」は鮮烈な印象を
植え付けた。作者は、原爆で亡くなった無数の子供たちを追悼しているのだ。
キャラメル一つ口にできないまま死んでいった彼らに、せめてこの「赤き帯封」を
切らせてやりたかった、と。  清水哲男



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Author:遊歩
あっという間に歳を重ねてしまいました。
せめて俳句への感覚は若くありたいと思い続けています。

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